電力・電力量と発熱量

電力

電力とは、単位時間あたりに電気エネルギーがどれほどの仕事をしたかをあらわすものです。 ここでの仕事とは、物を動かしたり、何かを動作させたりする力です。イメージが難しいかもしれませんが、 この電力では、これ位の仕事が出来るというイメージになります。

電力[W]=電圧[V]×電流[A]

通常、電力はP、電圧はV、電流はI、抵抗はRで表示されます。ここでオームの法則により公式を 変換してみます。

V=IR

なので

電力の公式

となります。このことより、電力は電流の2乗に比例して大きくなります。


電力量

電力量とは、一定電力が、ある時間内にした仕事の総和を表します。っと言っても難しいですね。 電力は仕事ですが、これに時間をかけて、仕事の量をあらわしているのです。この仕事を1時間しました。 と言う感じで、同じ電力でも、長い時間使えば電力量も増加します。

電力量[Ws]=電力P[W]×時間t[s](秒)

電力量[Wh]=電力P[W]×時間t[h](時間)

つまり400kWのコタツを1時間使用する場合と、800kWのファンヒーターを30分使用 する場合で考えますと、電力量は同じなのです。


発熱量(ジュール熱)

電流が流れることによって、毎秒発生する熱をジュール熱と呼びます。電流が抵抗中を流れると、 熱が発生します。これは電気エネルギーが熱エネルギーに変わっているのです。家庭内でタコ足配線を している線が温かいのは、電線の抵抗によって発熱しているのです。発熱量は電流の2乗に比例して 大きくなるので、タコ足配線などで、電流を増やせば大きく発熱します。

熱量をH、抵抗をR、電流をI、時間をt[秒]としたとき、

発熱量の公式

とあらわすことが出来ます。


電力量と発熱量

ここまで説明しましたが、いまいち分かりにくいかもしれません。そこで実際に問題を解きながら解説 してみます。ここではカロリーという言葉が出てきます。これは普段よく効くカロリーです。

まずは1[kWh]=860[kcal]、1[cal]=4.186[J]ということを覚えてください。 なぜこのようになるのかと言うと、単位が違うからです。上の例で言うと、1[kWh]をカロリーに変換すると 860[kcal]になります。単位の違いは日常でも体験できると思います。例えば「お金」です。100円と 1ドルをそのままでは、計算できません。どちらかの単位にあわせる必要があります。同じように単位が違うと 計算が出来ない場合もありますし、求める答えの単位が指定されている場合もあります。単位の変換は覚えて おきましょう。

水1[g]の温度を1[℃]上昇させるのに必要な熱量は1[cal]です。これは基本的なことなので 覚えておいてください。覚えやすいとは思いますが。

それでは問題に入ります。消費電力4[kW]の電気温水器で、300[l]の水を17[℃]から85[℃] まで上昇させるために必要な時間はどれ位か?という問題です。ここでは電気温水器の熱効率は100%とします。

水1[g]の温度を1[℃]上昇させるのに必要な熱量は1[cal]です。、300[l]は300[kg]と なります。温度は17[℃]から85[℃]までなので、68[℃]上昇させることになります。つまり300[kg] の水を68[℃]上昇させることになるので

300[kg]×68[℃]=20400[kcal]

となります。単位に注意して下さい。[kg]で計算していますので[kcal]になっています。 [g]で計算すると、0が多くなり、間違えやすいので[kg]で計算しました。このことから、300[l] の水を68[℃]上昇させるのに必要な熱量は20400[kcal]となります。

1[kWh]=860[kcal]です。つまり860[kcal]は1[kW]を1時間使用した 場合の熱量です。今回の電気温水器は4[kWh]なので、1時間で3440[kcal]の熱量が 発生します。

必要な熱量が20400[kcal]で、1時間で3440[kcal]発生できる電気温水器なので、 20400[kcal]発生するには、

h=20400[kcal]/3440[kcal]

で、約6時間かかるということです。

効率が100%と言うのは、電気温水器で水だけを温め、水を温めること以外にはエネルギーを使わない ということです。実際には容器などもありますし、効率は下がります。効率が下がると、暖めるのに時間が かかります。

例えば効率が80%であれば、電気温水器の出力の80%で計算すればいいので

4[kW]×0.8=3.2[kW]

となり、この出力で計算すると、時間が長くなります。

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