小型遮断器(ブレーカー)の構造

試験には出てこないと思いますが、遮断器の構造についてうんちくを語りたいと思います。まず皆さんの 家についている、下の図のような遮断器についてお話をします。

同じ部屋で、電子レンジやファンヒーター、ドライヤー等を同時に使用すると落ちる(切れる)やつです。 なぜ落ちるのかというと、電線を保護するため電流の使いすぎで(過電流)落ちるようになっているのです。

知り合いの方がたまに「ブレーカーのスイッチ(ハンドルのこと)にテープ等の貼って固定したらどうなる?」って 聞いてきますが、答えは落ちます。遮断器の中にはバイメタル(膨張率の違う2枚の板を貼り付けた板。温度が加わると一定 方向に曲がる。)が入っていて、過電流が流れることでバイメタル温度が上昇して、バイメタルがトリップバーを押して 遮断する構造になっています。ハンドルをON方向にすると、内部の接点はONします。OFFにすると接点は外れますが、 中間位置は無いのです。ハンドルと接点は特殊な構造でつながっていて、ハンドルを一定の位置までONすると、突然接点 のONします。トリップバーを押すことでこのつながりを外してしまうので、いくらハンドルをONの位置で固定しても 接点は外れてしまいます。ハンドルと接点のつながりを戻すにはリセットという動作をします。ハンドルをOFF側に することでリセットされます。(ラッチをかけるともいう。)

ここで過電流について、基本的に電圧は関係ないので20Vでも反応します。電圧は漏電機能等がついている場合、 電子回路に供給する電圧なので、過電流に対しては低い電圧でも通常通り反応します。実際の過電流試験では、電圧 を下げることで、全体の消費電力を抑えているのです。次に過電流以上のとても大きな電流が流れた場合です。 短絡保護付きの遮断器であれば0.1秒以内で遮断します。これはバイメタルと別にもう一つ動く構造があり、電路に 電流を流すことで磁場が発生し、それを利用してトリップバーを押して遮断しているのです。

次に漏電機能についての説明です。漏電とはその名の通り電流が漏れることです。どこに漏れるかというと、アース や地面、人体等いろいろな場所に漏れます。例えば洗濯機等を触った時ビリビリくるのは、洗濯機が漏電しているので、 電流が人体から地面に流れているのです。大変危険な状態なので、それを検出するのが漏電機能なのです。 まず下の図を見てください。これをCTとします。

CTは丸いドーナツ見たいな物で、ここに電流を流せば横の出力端子に電流が流れます。例えば30/5Aであれば、 30Aの電流が流れたとき、出力端子に5Aが流れます。測定器等によく使われます。これを利用して漏電を検出します。 まず下の図は漏電が無い場合です。

これは下方向と上方向の電流をたせば0になる。下方向の場合出力端子に発生する電流と、上方向の時に発生する 電流とでは方向が違うのです。つまりお互いに相殺し合って0になります。この場合漏電はありません。では次の図は どうでしょう

この場合は行きの電流が10iに対して、帰りの電流は9i。つまり1iが漏電しています。この場合行きと 帰りの電流に差があるためCTが反応します。これにより漏電を検出して遮断器を遮断するのです。

トップへ
LINKへ

inserted by FC2 system