正弦波交流の電圧
直流は極性があって電流の流れる方向も一定なので理解しやすいと思います。交流はどうでしょう。 電流の方向が常に行ったり来たりしています。ですがプラスとマイナスが常に反転しているというイメージ はしないほうがいいです。交流、例えば自宅のコンセントは穴が2個開いてますが、片方は触っても大丈夫 なのです。っと言っても大変危険なので絶対触らないでくださいね。つまり片方はアース 、地面につながっているのです。そしてもう片方に電圧が発生しているとイメージしてください。この片方の 電圧がプラス側にあるとき電流は地面に向かって流れます。反対にマイナスのときは地面から流れてきます。 電位の高いほうから低いほうに流れます。この先よく出てくると思いますが、対地電圧とはこのことです。
上の図が交流電圧の波形と呼ばれるものです。縦軸が電圧で、横軸が時間となります。そして真ん中 の横線が電圧0[V]となります。真ん中の横線がコンセントの片方としたら、もう片方はクネクネした 線(正弦波)です。横軸が時間で、右に行くにつれて時間が進みます。真ん中の横線と、正弦波の一点が 電位差となります。つまり電圧です。時間が進むにつれて、電圧が上がったり、下がったり、マイナスに なったりしています。これが交流で、プラスとマイナスが常に反転しているということです。
電圧が上昇して、下降して、また上昇して同じ位置に戻ります。これを1サイクルとして、周波数60Hz とは1秒間に60回このサイクルを繰り返していることになります。
この正弦波の最大値は、Emであり図のように山のてっぺんの電圧のことです。テスターで計ると表示 させるのは最大値ではなく実行値です。実行値は下記の式で表すことができます。
実行値=
そして平均値は
平均値=
通常、電圧は実行値で表示してあります。
インピーダンス
電線をグルグル巻いたコイルがあります。これに直流電流を流すと普通に流れます。では交流を流すとどうでしょう。 電線の抵抗値がなくても、抵抗値があるような感じで電流が弱くなります。次にコンデンサではどうでしょう。コンデンサの 極間は絶縁されています。よって直流では流れません。しかし交流は流れます。交流は一定周期でプラスとマイナスが変化します。 1秒間に変化する回数が周波数です。コイルの場合周波数が高くなると抵抗が増えたようになり、コンデンサでは逆に高くなると 抵抗が少なくなったような感じになります。この抵抗のようなものを通常リアクタンスと呼び、コイルにしても実際は抵抗があるので 、この抵抗とリアクタンスを合わせてインピーダンスといいます。配線をするとき、電線は曲がったりするので抵抗値よりもインピーダンス で計算します。
上の図はRL直列回路といって、抵抗とコイルで構成されています。この回路に直流を流した場合、コイルの抵抗が無い場合は 、単純にI=V/Rです。しかし交流の場合はコイルも電流の流れをさえぎるので、R=V/Zとなります。ここでZとはインピーダンス と呼んで、RとLを合成したものです。交流用の抵抗みたいなものです。求め方は単純に足し算するのではなく、下記のように計算します。
では下の図のようにコンデンサが直列についていたらどうでしょう?
このような場合は、コイルとコンデンサではお互いに相殺しあうので、差になります。
交流のばあい、このインピーダンスZで電流を求めます。
交流の電力
どんどん難しくなってきましたね。直流の電力とは違って、交流では力率とか入ってきます。つなぐ負荷により 電圧より電流が進んだり、遅れたりするのです。そのためV・Iで求められる電力を皮相電力と呼び、その電力のうち 実際に利用できる電力を有効電力と呼んでます。参考書には虚数軸で説明されてますが、がんばって理解しましょう。 虚数については特に理解する必要はないと思います。数学では「i」となってますが、電気では「j」となるみたい です。私も理解しようとがんばったのですが、良く分かりませんでした…。
では交流の電力がどのようなものか見てみましょう。先ほどのRL直列回路を使用します。
まず交流はインピーダンスなので、コイルと抵抗を合成したZで計算して見ます。すると回路に流れる 電流が求められるので、電圧×電流で皮相電力が求められます。
実際の有効電力は、皮相電力に力率をかけたものになります。力率はcosθとなりますので
P=VIcosθ[W]
となります。もう少し詳しく説明すると、有効電力は抵抗で消費される電力のことです。つまり 上の図で説明すると、抵抗Rに流れる電流と、抵抗で求めることができます。
上の式で求められる有効電力と、皮相電力で、力率を求めることもできます。有効電力は抵抗で消費される 電力ということを覚えていてください。
第二種電気工事士