火力発電

熱力学

電力の火力発電です。いよいよここから計算問題が普通に出てきます。「いままでのは?」って思われるかも 知れませんが、電力に関してはここからです。水力発電では計算問題が少なかったでしょ? っと言っても火力発電ではまず用語の意味を理解する必要があります。

まずは単位の変換は必ず覚えておきましょう。これができないと問題が解けません。圧力の単位 は、よく「○○キロ」とか呼んでいますが、SI単位(国際単位系)ではPa(パスカル)となります。 これは単純に「キロ」を9.806で割ればいいです。この9.806はよく出てくるので、そのまま 覚えておきましょう。

熱量の単位では1(cal)=4.186(J)、1(kW・h)=3600(kJ)は必ず 覚えます。上の変換を覚えれば1(kW・h)=860(kcal)は簡単に出てきます。上の 変換から見ると1(J)=1/4.186(cal)なので3600/4.186で求められます。 このように無理に全部覚えるよりも、計算で求められる部分については計算で求めたほうが効率が いいのです。

温度の単位なのですが、0(℃)=273.15(K)となります。ここでKはケルビン(絶対 温度)といいます。物体の最低極限温度は−273.15(℃)。わけがわかりませんね。ここでは 少し発想を変えましょう。物があったかい解きは熱というエネルギーを持っているのです。これに 風を当てて冷やす行為は、物に対して冷気を与えるのではなく、その物の熱を奪っているのです。 私たちは太陽から大きなエネルギーをもらっているので、地球上は安定した気温(温度)になるの です。しかし物体に一切のエネルギーを与えず、物体のエネルギーをすべて奪うと、絶対温度で 0(K)、つまり−273.15(℃)になるのです。この温度が基準で、エネルギーを一切 持っていないのでこれが最低温度。つまりこれ以上は下がらないのです。℃はセルシウス度 (摂氏温度)で純粋の氷点と沸点を100等分したものなのです。つまり氷点が0(℃)、沸点 が100(℃)となるのです。

比熱とは1(kg)の物体の温度を1(K)又は、1(℃)上げるのに必要な熱量をジュール (J)であらわしたものを言います。

c(J/kg・K)

単位を見ればわかると思います。このように単位も意味を持ってついているので、よく理解 しておく必要があります。物体加熱に必要な熱量H=cMθ(J)はすぐわかりますよね。

仕事と熱

この言葉が頻繁に出てくると思います。私も最初は何が違うのかよく理解できませんでした。 ただ違いを明確にしておかないといけません。例えば私は熱というものは、その物体が保有 するエネルギーを熱換算したみたいなもの、仕事はその物体が持つエネルギーで何か仕事を させたとき(物を動かしたり)の出力と考えました。私の考え方は正しいのかわかりませんが、 参考書の言葉の意味だけでは理解が難しかったので、このような違いをつけて見ました。

エンタルピー

この言葉、私は聞いたこともありませんでした。これは全熱量といって、公式をみると 熱量に何かを足しています。蒸気で説明しますと、飽和蒸気のエンタルピーは飽和水の 保有する熱量、すなわち液体熱と、飽和水から飽和蒸気に変換するための蒸発熱を足している のです。同様に過熱蒸気では飽和蒸気をさらに過熱しますので、過熱度に相当する熱量を 加算します。

蒸気

物体に熱を加えると、固体→液体→気体のように変化し、熱を奪うとその逆になります。 物体の状態が変化しないまま温度が上がっていくときの熱量を顕熱、状態を越えるための 熱量を潛熱と呼びます。つまり0℃の水を0℃の氷にする場合もエネルギーは発生するのです。

臨界点

物質は一般に固体、液体、気体のいずれかの状態ですが、温度と圧力を上げていき、ある時点 (臨界点)を越えると、液体のように物質を容易に溶解し、気体のように大きな拡散速度を示す、 液体と気体の両方の性質をもつ状態になります。難しいですが、難しく考える必要はありません。 専門家ではないのでこういうものだと覚えておきましょう。皆さんの知っている水は鍋などで 過熱すると100℃で沸騰しますよね。ここに圧力をかけた状態ですと100℃では沸騰しなく なるのです。そこで圧力を22.13(MPa)までかけた状態だと、水は374.1℃まで 上昇します。この点を臨界点と呼び、これを超えると超臨界となり、もう水は液体でも気体でも ない変な状態になるのです。水はここまで温度が上がることを覚えておきましょう。それとこの 値は計算問題の一部で使用することが高いので覚えておく必要があります。

融解熱(凝固熱)  335(kJ/kg)
発熱量(凝縮熱)  2256(kJ/kg)
臨界圧力Pc    22.13(MPa)
臨界温度tc    647.25(K) 374.1℃

熱サイクル

熱サイクルの項目はとにかく覚えましょう。装置線図ではどこに何があるか、例えば復水器 があるか等、T−s曲線でのグラフで加熱の部分等。これも保障はできませんが、私は計算まで 勉強したのですが、過去問題でのA問題であれば、そこまで難しいものは出ない気がします。 B問題であれば選択なので、違う選択をしてもいいと思います。

その他

ここから先は省略する感じになりますが、基本的にイメージして覚えるだけです。ボイラは 大きな焼却炉みたいなイメージで中に熱をもらうパイプが入っているイメージでいいでしょう。 タービンの用途や種類も覚えて置きましょう。
計算問題なのですが、たいしたことはありません。重油の使用量から出力を求める問題が多いでしょう。 ここでは単位に注目すると簡単に解けると思います。ここで単位の変換も普通に行う必要が出てきますので このページの最初に説明した変換は確実に覚えましょう。

電験三種  電力

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